ローズマリーには、栽培された地域によって香りや成分の異なる3種類のケモタイプ種、ローズマリーシネオール、ローズマリーカンファー、ローズマリーベルベノンがあります。
そのうちローズマリーカンファーは、ケトン類のカンファーと言う成分を多く含有している精油です。
ケモタイプ精油とは 同じ種類の植物でも自然環境の違うところで育つた精油を成分分析してみると、その土地の自然環境に適合し、異なる結果が検出されます。植物の種類ではなく、この成分の結果によって種類分けをした精油をケモタイプ精油(化学種)と呼びます。
出典:健草医学舎
ローズマリーカンファーの主な薬効成分は
- うっ血うっ滞
- 大脳活性
- 免疫促進
- 昆虫忌避
脳内の血行を良くすることから、大脳活性、認知症予防にも効果があると言われています。
禁忌は、信頼できる天然の精油であれば特にありません。
一般に雑貨屋さんで販売されているアロマオイルには、天然精油ではなく、合成香料が使われていることが多いので、「精油」や「エッセンシャルオイル」と表記のあるもの、農薬検査結果やロット番号などの成分分析表が付いている精油であれば更に信頼ができます。
メディカルアロマテラピーで使用できる精油の選び方についてはこちらの記事もどうぞ。
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ローズマリーカンファー精油(アロマ)の効果効能とは?
植物の特徴
ローズマリーは多年性の常緑低木で、草丈は80~180cmほどになります。地中海地方の原産ですが、とても強い植物で、世界中で栽培されています。ハーブの中でも芳香の強い種類で、スッキリとした爽快な香りのハーブです。
精油名 | ローズマリーカンファー |
学名 | Rosemarinus officinalis CT1(Camphora) |
科名 | シソ科 |
蒸留部位 | 花と茎葉 |
主な産地 | フランス、スペイン |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
ローズマリーカンファー精油の効果効能
薬効成分の含有量
50% モノテルペン炭化水素 | 25% α-ピネン ・うっ血うっ滞 ・強壮 ・大脳活性 |
10% カンフェン | |
25% 酸化物 | 25% 1.8シネオール ・免疫刺激 ・免疫促進 ・鎮咳 ・去痰 ・抗菌 ・抗炎症 |
15% ケトン | 13% カンファー ・筋肉弛緩 ・殺虫 ・昆虫忌避 |
成分まとめ
- α-ピネンのうっ血うっ滞作用で、むくみや冷え性、脳血流増大から認知症予防や抗うつの効果が期待できる。
- 1.8シネオールは免疫促進作用、咳を鎮める鎮咳作用などがあり、風邪やインフルエンザに効果的。
- カンファー=樟脳(しょうのう)の香り
- カンファーには昆虫忌避があり、タンスの虫よけに使われる
レモンと混ぜると認知症予防に効果!?
鳥取大学の研究
「ローズマリーカンファー」と「レモン」のブレンド(朝用)と、「ラベンダーアングスティフォリア」と「スイートオレンジ」のブレンド(夜用)について、芳香浴で認知症の方に対して予防・改善があるという事が、鳥取大学医学部教授の浦上克哉教授の研究※により認められたそうです。
おすすめの配合
浦上先生の研究では昼用のアロマは「ローズマリーカンファー:レモン=2:1」、夜用のアロマは「真正ラベンダー(*1):スイートオレンジ=2:1」が最も効果的な結果となったためこの配合がおすすめです。
アロマは数滴でもとても強い効果があるため、ローズマリーカンファー4滴、レモン2滴程度で試し、香りの感じ方によって増減させてください。ただ量を変えた時も配合の割合はそのままで作るようにしてください。
参照:Felice
*1 真正ラベンダー = ラベンダーアングスティフォリア
おすすめの認知症ブレンド商品
「自分で配合するのが面倒くさい!」「材料を揃えるのが大変!」
と言う方にはすでにこの研究をもとにブレンドされた商品がありましたので、ご紹介しますね。
▽リ・ブレイン
鳥取大学医学部浦上克哉教授の研究に基づいて開発された精油。昼用と夜用の2つセットで「リ・ブレイン」という商品名で販売されています。
昼用はローズマリーカンファーとレモン、夜用は真正ラベンダーとスイートオレンジ。昼用は集中力を高め、記憶力を強化する刺激的な作用があり、日中の生活をすっきりと健康に過ごすための作用があります。
夜用は、心や身体への鎮静作用があり、リラックスして夜ぐっすりと眠れるようになる作用があります。
▽生活の木
同じく、この研究に基づいてアロマ専門店の生活の木から販売されている商品です。
次ページでは、芳香浴の作用ではなく、ローズマリーカンファー精油に含まれる薬効成分を取り入れるメディカルアロマレシピをご紹介します。
「メディカルアロマ」という言葉。聞いたことはありますか?日本でアロマと言えば、好きな香りを嗅いで癒しを得るイギリス式のアロマセラピーが主流ですが、フランスやベルギーでは、天然精油に含まれる薬効成分を分析し、医師や薬剤師が精油を治療に[…]
ローズマリーカンファー精油を使ったアロマブレンドレシピ
精油はとても分子量が小さく、経皮吸収で皮膚から血管を通り、身体の中に成分が取り込まれます。この精油の特徴を活かしたメディカルアロマテラピーのレシピを紹介します。
抗うつ対策レシピ
ローズマリーカンファーの脳内血流を良くする作用を使ったブレンドレシピ。
なんだかやる気が出ない。疲れて気分がのらない。うごく気になれない。こんな気持ちになる事は誰にでもあるはず。うつは気持ちの問題だなんて昔の話、今は効果のあるお薬もありますが、、 薬ばかりに頼りたくない […]
頭痛のためのアロマレシピ
気圧の変化で血行が悪くなったり、緊張や首肩の凝りから来る頭痛に効果のあるブレンドレシピです。
天気が悪い日や気圧の下がる日にこめかみが痛くなったり、大切な日に限って後頭部が痛くなったり、、、ひどい時には吐き気を伴うことも。。。頭痛って辛いですよね。 かと言って頭痛薬にはなるべ[…]
香水の作り方
ローズマリーは香りも良く、香水のブレンドに入れられることもある精油です。精油を使った香水の作り方は簡単なので、是非お試しください。
今回は精油で作る、簡単な香水の作り方をご紹介します。市販されている合成香料で作られた香水は、香りが強く、長い間香るのが良いところですが、合成香料の香りが苦手な方にはきつく感じることもありますよね。天然のアロマオイル([…]
その他、ローズマリーカンファーはペストが流行った時代に、感染を防ぐために使われた精油でもあります。
詳しくはこちらの記事で紹介しています。
ペストは、人類の歴史の中で最も致死率が高く、壊滅的な被害をもたらした感染病のひとつ。 ペストとは?ペスト菌が感染することで起きる伝染病であり、致命率は非常に高く、60%から90%に達する。「黒死病」の名[…]
メディカルグレードのローズマリーカンファー精油
この記事で説明した薬効は、香りだけを再現した合成のアロマオイルには含まれていません。
薬効成分は100%天然の精油(エッセンシャルオイル)に含まれていて、身体に塗る以上は農薬や防腐剤などが含まれない、メディカルグレードの精油を使う必要があります。
▽メディカルグレードのローズマリーカンファー精油
おすすめは、日本でも厚生省指定の機関で成分分析をしている、上記で紹介したPRANAROM社の精油ですが、メディカルアロマテラピーのレシピに使える精油の選び方については、こちらの記事もどうぞ。
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