カモマイルローマン精油の芳香成分は約70%がエステル類の鎮静作用。
ローマンカモミール、ローマンカモマイルなどとも呼ばれます。
もちろんこれは雑貨屋さんなどで見かける合成のアロマオイルではなく、PRANAROM社など天然精油に含まれる薬効成分の数値です。
一般的に花から抽出される精油は高価になりますが、このカモマイルローマン精油も花から抽出するため、天然精油はとても高価になります。そのため薬効成分が目的の場合は、高価なカモマイルローマンではなく、同様の薬効成分をもつ別の精油を使っても良いでしょう。
この記事では、
- カモマイルローマンの植物の特徴
- カモマイルローマン精油の効果効能や詳しい成分分析
- カモマイルローマンとジャーマンの違い
について紹介します。
それでは早速詳しく見ていきましょう。
カモマイルローマン(ローマンカモミール)の基本情報
ギリシア語で「大地のリンゴ」と呼ばれているカモマイルローマン。カモミールローマン、ローマンカモミール(カモマイル)とも呼ばれます。
名前の”chamomileは”小さなりんご”を意味し、香りは花だけでなく茎や葉にもありますが、ハーブティーにするとやや苦味があり、主にカモミールティーとして使われるのはカモマイルジャーマンです。
古代エジプトでは、太陽の神様に祈る時や治療薬としても用いられていました。ヨーロッパでは香りを楽しむため、薬用、観賞用として長く親しまれていました。歩くとりんごの香りがすることから、カモミールを床に敷き、ほのかな甘い香りを楽しんだとも言われています。
精油名 | カモマイルローマン、ローマンカモマイル、 ゴールドカモミール |
学名 | Chamaemelum nobile |
科名 | キク科 |
蒸留部位 | 花、葉 |
主な産地 | フランス、ハンガリー |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
植物の特徴
ローマンカモミールは多年草の植物で、世界中に広く自生しています。2,3cmの小さな可愛い花を咲かせます。
ローマンカモミールは葉にも精油が含まれるため、花だけでなく葉も一緒に蒸留される場合もありますが、紹介したPRANAROM社では花のみから抽出しています。
ローマンは、カモマイルジャーマンよりも大型で、生命力のある多年草です。ジャーマンとの比較は後ほど説明します。
カモマイルローマンの効果効能と薬効成分
ローマンカモミールの薬効成分について
成分のほとんどがエステル類の鎮静作用です。
作用が穏やかなので、子供から大人まで年齢を問わず親しまれ、子供の寝つきが悪いときや、かんしゃくを起こしているときにもおススメです。
頭痛や筋肉痛、歯痛、神経痛など痛みを和らげ、落ち着かせる働きがあります。食欲不振、吐き気、便秘、下痢といった消化器系の不調にも有効です。肌に対しても鎮静作用の効果として、抗炎症作用があり、じんましんやアトピー性皮膚炎、かゆみなどにも効果が期待できます。
主要成分(類) | 主要成分 | 作用 | ||
75% | エステル | 40% | アンゼリカ酸イソブチル | 鎮静 |
20% | アンゼリカ酸イソアミル | |||
10% | アンゼリカ酸メチルアリル | |||
5% | ケトン | 5% | ピノカルボン |
※天然精油の芳香成分はその年の天候などの状況で含有量などが変動します。上記はおおよその目安です。
- ほぼエステル類の鎮静作用
- 身体には安眠やイライラ抑え、鎮痛などの効果
- 皮膚には抗炎症作用
同様の作用をもつ別の精油は?
一般的に花から抽出される精油は高価になりますが、このカモマイルローマン精油も花から抽出するため、天然精油はとても高価になります。
そのため薬効成分が目的の場合は、高価なカモマイルローマンではなく、同様の薬効成分をもつラベンダーアングスティフォリア精油を使うのも良いでしょう。
ラベンダーアングスティフォリア精油は芳香成分の70%ほどが鎮静作用で皮膚刺激も少なく、鎮静・抗炎症作用に優れています。
鎮静作用とともに、カモマイルローマンのリンゴの様な甘い香りを楽しみたい方は、迷いなくカモマイルローマンを使ってください。
カモマイルローマンとジャーマンの違い
同じカモミールに、ケモタイプ種の異なるカモマイルジャーマン精油もありますが、成分は全く異なります。
カモマイルジャーマン | カモマイルローマン | |
ハーブティー | 〇 | △苦みがある |
植物の大きさ | 小ぶり | 比較的大型で生命力がある |
精油の主な薬効成分 | 抗アレルギー、抗炎症 | 主に鎮静 |
精油抽出部位 | 花のみ | 花、葉 |
香りの特徴 | 甘さと干草が混ざったような香り | 甘くリンゴの様なフルーティーな香り |
価格 | 10ml 10,000円前後 | 10ml 10,000円前後 |
ケモタイプ精油とは 同じ種類の植物でも自然環境の違うところで育つた精油を成分分析してみると、その土地の自然環境に適合し、異なる結果が検出されます。植物の種類ではなく、この成分の結果によって種類分けをした精油をケモタイプ精油(化学種)と呼びます。
出典:健草医学舎
メディカルグレードのカモマイルローマン精油
薬効成分は、香りだけを再現した合成のアロマオイルには含まれていません。
香りだけを楽しむ場合は、より安価に香りを楽しめる合成のアロマオイルも良いですが、薬効成分を求める場合や天然精油の香りを楽しみたい方は「精油」や「エッセンシャルオイル」と表記された天然100%のエッセンスを購入しましょう。
▽カモマイルローマン精油
メディカルアロマテラピーのレシピに使える天然精油の選び方については、こちらの記事もどうぞ。